奥さんに初めて作った手料理美味しくなかったけど

妻は子供を産んで一か月。

その間は妻の実家のお母さんが家に泊まり込んでくれて何かと世話を焼いてくれていた。
しかし1か月もすると妻も僕に気を使ったのだろう。

「私もう大丈夫だから」とお母さんを帰してしまった。

お母さんの料理は妻の料理の味と一緒。全く苦痛ではなかったのに。

と思ったが妻には何も言えなかった。僕は平日仕事で家にはいない。

その間妻は家事や子育て一人でこなさなければならない。

会社にいてもいつもその事が気にかかるが家に帰ればきちんと夕飯の準備が出来ている。

「あー大丈夫だ。」僕はすっかり安心しきっていた。

でも、やはり2週間ぐらいたった頃だろうか。

どうも妻の様子がおかしい。

食事はきちんとできているが、ソファに座り込みそばに置いているベビーベッドに寄りかかっている。

疲れているのかも。

そうだ!今度の休みは僕が食事を作ろう。

妻に提案すると妻は非常に喜んでくれた。

そして休みの日スーパーに買い物に行ったはいいが、何を選んだらよいか全く解らない。

野菜や肉、何が良い素材なのだろう。妻に聞いておけばよかった。

僕はちょっと迷いながらとりあえず一番おいしそうな野菜と肉と安売りの豆腐を買い家に帰った。

そして作ったメニューは野菜炒めと豆腐の味噌汁。僕は独身時代は外食が多くろくな料理はしたことがない。

だから失敗せずに出来るとしたらもうこれしかないのだ。

早速妻に味を見てもらうと、一言「美味しいよ。」でもその顔はどこかひきつっている。

僕も食べてみたがみそ汁も野菜炒めも全く味がしない。

慎重になるがあまり調味料やみその量が少なすぎたのだ。

すると妻は野菜炒めにソースをかけレンジで温めた。

「これでもっと美味しくなるよ。」すると不思議なことにさっきよりも美味しい。

何とか食べ終えることができた。

そして翌朝何気に台所を見ると妻が僕の作ったみそ汁に出汁と味噌を追加している。

やはり味が薄かったか。そして朝御飯として出されたみそ汁の味はいつもの妻の作るみそ汁の味にそっくりだった。

余計なことをしてしまったと妻に謝ると妻は一言。

「気持ちがこもっているから。薄い分は味を足せばいいんだよ」と笑顔で答えてくれた。

それからもたまに料理はするが、買い物は妻と一緒に行き、野菜を切ったりするのは僕がするがやはり味付けは妻任せ。

でもこれが一番いいんだと自分に言い聞かせている今日この頃だ。”